夜勤専従看護師として働くことには多くのメリットとデメリットがあります。
この記事では、高収入や生活リズムの安定などのメリットと、体調管理や精神的ストレスといったデメリットについて、さらにデメリットを解消するための改善策についてを詳しく解説します。
夜勤専従看護師はどんなメリットやデメリットがあるか知りたい方や夜勤専従で働こうと思っている人のデメリットに対する解決の参考になれば幸いです。
夜勤専従看護師のメリット・デメリット

メリット
- 高収入:夜勤手当が加算される。
- 生活リズムの安定:生活リズムが一定になりやすい。
- プライベートの充実:日中の自由な時間を利用して、家族や趣味に時間を使うことができる。
- 患者の受け持ちや看護研究、委員会活動の免除:時間外の仕事が減る。
①高収入
夜勤手当が加算されるため、通常よりも収入が高くなります。
2023年の日本看護協会の調査データによると夜勤1回の手当の平均が3交代の準夜勤:4234円、深夜勤:5199円、2交代では11368円になるようですね。(数年前よりちょっとだけ上がりました)
自分の職場では2交代の夜勤手当は1万なので妥当、というかもうちょい欲しいところですね。
夜勤専従になると2交代の場合は月9~10回、3交代なら月18回くらいの勤務になります。
つまり常勤の場合は基本給に加えて夜勤手当+10万前後の月収になるわけです。
夜勤専従の非常勤の場合だと基本給やボーナス、福利厚生がないのでメリットは少なく非常勤はあまり良くないと思うかもしれません。
実は非常勤の場合だと1回の夜勤手当が3万以上になるところもあります!
勤務回数は月4回以上を募集している求人が多いので、最低でも月に4回働いて12万円の収入。
さらに非常勤はパート扱いなのでWワークが認められています。(常勤だと体力的にも厳しいですしね)
2か所で非常勤の夜勤専従をすると月8回働いて24万以上になるわけです。
夜勤専従は高収入が期待できます。
②生活リズムの安定
夜勤のみの勤務で生活リズムが一定になりやすくなります。
夜勤専従では生活リズムが崩れそうというイメージがあると思います。
しかし実際は、生活リズムが崩れやすいのはどちらかというと日勤と夜勤のくり返しの方ですね。
昼間に働いて夜は寝た次の日は夜勤で寝ずに働いて、翌日昼間は眠くなって昼寝。
昼に寝たから夜は眠れず翌日朝が起きられなくなり…という不規則な勤務形態によって生活リズムは崩れていきます。
夜勤を始めてから体調を崩して生理も止まった人が夜勤のない職場に転職していったこともあります(夜勤止めたら体調は戻ったそうです)
夜勤専従になるとサイクルは一定になるので、逆に生活リズムは崩れることなく昼間の予定や家のこと、プライベートの予定が立てられるようになります。
③プライベートの充実

夕方~翌朝にかけての夜の仕事のため日中の自由な時間を利用して、家族や趣味に時間を使うことができます。
夜勤専従はトータルでの勤務回数が少ないため睡眠時間を差し引いても自由時間は多くプライベートを充実させることができます。
自分も急変のない穏やかな夜勤だと、夜勤明けでそのまま遊びに行ってランチを楽しんだりショッピングに行ったりもしました。
映画やプラネタリウムとかだとうっかり寝てしまうこともあるので注意ですが。
夜勤のリズムが自分に合えばプライベートや趣味の時間を充実させることができます。
④患者の受け持ちや看護研究、委員会活動の免除
夜勤専従の場合は日中の活動に参加できないため担当患者や看護研究、委員会活動が免除されます。
「委員会も看護研究もやらなくていいので時間外業務が減る」
恐らくこれらをメリットに感じる人は多いのではないでしょうか。
看護師として病棟で働いていると、委員会の仕事が割り振られていきます。
例えば入院患者の褥瘡発生の統計を取ったり治癒経過を記録して医師や栄養課など他部署と連携を取ったりする「褥瘡委員会」とか、転倒転落やインシデントの件数や内容をまとめて改善策を検討したりする「安全委員会」とか様々。
勤務時間中に委員会資料の作成や看護研究の話し合いなどは困難なので、必然的に時間外の仕事になってしまいます。
そういった時間外の委員会作業で残業手当が認められない場合はサービス残業になってしまいますし、下手したら家に持ち帰って作業する、なんてこともあります。
夜勤専従の場合は日中にある委員会に参加することができませんし、昼間の様子観察や他のスタッフとの話し合いが困難になるため、これらの活動が免除されます。
看護業務以外の仕事が免除になること、つまりは時間外が減らせます。
デメリット

- 体調を崩しやすい:睡眠不足や体調不良になりやすく、長期的な健康リスクがある。
- 精神的ストレス:夜間はスタッフの少ない中での急変時の対応など、精神的なストレスが増加する。
- 常勤の求人は少ない:非常勤の募集が多く、ボーナスや福利厚生が受けられない。
- キャリアの限界:委員会活動に参加しない反面、管理職などへの出世は厳しくなる。
メリットが多くある半面、もちろんデメリットもあります。
①体調を崩しやすい
夜勤専従は体調を崩しやすい場合があります。
リズムが一定とはいえ今までとは違う夜に起きて働く生活ですから、体が慣れないうちは睡眠不足になったり体調を崩す看護師もいます。
メリットで挙げた生活リズムが安定すると書いたことと矛盾しますが、夜勤専従ではメリハリをつけた生活リズムを自分で整える必要がある訳です。
特に2交代の夜勤では1回の勤務時間が長いため疲れやすいですし、その後の疲れが取れにくいと感じることもあるでしょう。
体調を崩さないよう夜勤前後の仮眠や休息、夜勤以外での夜の入眠方法が重要になってきます。
②精神的ストレス
夜勤では精神的ストレスが増す場合もあります。
夜勤業務は日勤と比べると多くはないですが、夜勤スタッフの人数が少ないため何かあったときの相談が難しく一人で判断しなければならない場面もあります。
施設によっては夜勤看護師は1人だけ、ということも有り得ます。
特に患者に急変が起こったときには自分で対処しなければならないため自身の判断にすべてがかかってると言っても過言ではありません。
何もない穏やかな夜勤であってくれといつも願いますし、そうであることも多いのですが、「何かが起ったとき」のプレッシャーや精神的ストレスはやはり大きいです。
③常勤の求人は少ない
常勤での夜勤専従の募集は実はかなり少ないです。
まあ、正社員での夜勤専従だと基本給+夜勤手当、さらには福利厚生やボーナスも追加される訳ですから、夜勤手当ての支給だけで済むバイトの方が経営者側からしたら需要はあるのかもしれません。
夜勤専従を目指すならば、以下の3つの方法になります。
- 夜勤手当の多い職場で割り切って非常勤で働く
- 非常勤でがっつり稼ぎながら常勤の仕事を探す
- 日勤ありの常勤をしながらゆっくり夜勤専従の職場を探す
④キャリアの限界
メリットの方で「患者の受け持ちや看護研究、委員会活動の免除」を挙げましたが、これは逆に委員会など病院の運営や方針に関わる分野にも参加できないということでもあります。
委員会や日々の業務などで主導権を取ったり円滑に業務を回したりバリバリこなしてる人が主任や師長になっていくことが多いです。
そういった機会は夜勤専従では少なくなりますし、昼間の会議などに参加できません。
つまりは、管理職への出世がしにくくなります。
夜勤専従の仕事内容について詳しい情報を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
夜勤専従看護師のデメリットを改善する方法

夜勤専従看護師には多くのメリットがある一方で、身体的・精神的な負担が大きいというデメリットがあります。
- 体調管理の難しさ:夜勤は体に負担がかかりやすく、睡眠不足や体調不良になりやすいです。
- 精神的ストレス:少ないスタッフで急変時の対応をする必要があり、精神的なプレッシャーが大きいです。
- 求人の少なさ:常勤の夜勤専従の求人は少なく、非常勤が多いため、安定した収入を得るのが難しいことがあります。
- キャリアの限界:委員会活動に参加しないため、管理職への昇進が難しい場合があります。
夜勤専従看護師を長く続けるためにはこれらのデメリットを解消して上手く付き合っていく必要があります。
デメリットの解決法を紹介していきます。
体調管理の改善策
- 効果的な休息と睡眠
- バランスの取れた生活習慣
健康を維持するための体調管理のポイント。
当たり前だろうと思われるでしょうが、やはりこれらが一番重要になります。
効果的な休息と睡眠
夜勤後の休息と睡眠は、体調管理の基本です。
夜勤後に質の高い睡眠を確保したい人は、以下の方法を試してください。
- 暗い環境を整える:遮光カーテンを使用して、寝室を暗くする。光を遮ることで、体内時計を調整しやすくなります。
- 耳栓やアイマスクの使用:外部の音や光を遮断するために耳栓やアイマスクを使う。これにより、深い睡眠を得やすくなります。
- 一定の睡眠スケジュール:夜勤明けの日も同じ時間に起床することで、体内時計を安定させる。規則正しい生活リズムが体調管理に役立ちます。
- リラックスする習慣を持つ:寝る前にリラックスできる習慣(ストレッチ、読書、軽い音楽など)を取り入れる。これにより、スムーズに入眠できるようになります。
睡眠環境を整えることは重要です。
自分が夜勤を始めるときに最初の買い物は「完全遮光カーテン」でした!
夜勤前や夜勤明けの仮眠は明るい日中になることが多々あります。
普通のカーテンではどうしても明かりが漏れた室内になってしまいますし、明るいとなかなか寝るのも難しいです。
目を閉じていても光は瞼を通過して脳を働かせてしまうため、疲れを取る十分な睡眠・仮眠にするには完全遮光カーテンで室内の睡眠環境を整えることをおすすめします。
健康維持のための習慣
夜勤専従看護師として働くためには、体調管理が不可欠です。
以下の健康維持のための習慣を実践してみてください。
- バランスの取れた食事:夜勤中や夜勤後は、消化に良い軽めの食事を選ぶ。野菜や果物、たんぱく質をバランス良く摂取することが重要です。
- 適度な運動:運動はストレス解消や体調管理に役立つ。軽いエクササイズやウォーキングを日常生活に取り入れることで、体調を整えやすくなります
- 水分補給:体調維持に適切な水分補給。夜勤中もこまめに水を飲むよう心がけましょう。
- カフェインの摂取を控える:夜勤中のカフェイン摂取は一時的な覚醒効果があるが、過剰摂取は睡眠の質を低下させる。適度に抑えることが重要です。
精神的ストレスの軽減
- 趣味やリラックス方法を複数もつ
- 職場のサポートシステムを活用
趣味やリラックス方法を複数もつ
夜勤専従看護師として働くと、精神的なストレスが溜まりやすいです。
以下のストレス管理のテクニックを試してみてください。
- リラクゼーション法:深呼吸や瞑想、ヨガなどのリラクゼーション法を取り入れる。これにより、心身の緊張をほぐすことができます。
- 趣味やリクリエーションの時間を確保:趣味やリクリエーション活動を通じて、ストレスを解消する。映画鑑賞、読書、手芸など、自分が楽しめる時間を作ることが重要です。
- 定期的な休暇の取得:定期的に休暇を取り、リフレッシュする。長期休暇を計画して、旅行や家族との時間を楽しむことがストレス解消に役立ちます。
職場でのサポートシステムを活用
職場でのサポートシステムを活用して、精神的なストレスを軽減していきましょう。
- 良好なコミュニケーション:同僚や上司との良好なコミュニケーションを保つことで、ストレスを感じた時に相談しやすくなる。定期的なミーティングやカジュアルなコミュニケーションを心がけます。
- 相談窓口の利用:職場のメンタルヘルス相談窓口やカウンセラーのサポートを活用する。悩みやストレスを専門家に相談して、適切なアドバイスを受けましょう。
- サポートグループの参加:同じような悩みを持つ同僚と情報を共有し、支え合うサポートグループに参加する。共感とサポートを得ることで、ストレスを軽減できます。
求人情報の収集と活用
- 転職サイトや知り合いの情報から効率的に求人情報を収集する
- 常勤・非常勤の違いを知り選択する
効率的な求人情報の収集方法
夜勤専従看護師の求人を効率的に収集するために、以下の方法を活用していきましょう。
- 転職サイトの活用:看護師専門の転職サイトや夜勤専従看護師に特化したサイトを利用する。条件に合った求人を見つけやすくなります。
- エージェントの利用:看護師転職エージェントを活用し、自分の希望に合った求人を紹介してもらう。エージェントは非公開求人も持っているため、有利な情報を得られます。
- ネットワーキング:同僚や友人、先輩からの紹介を通じて、求人情報を収集する。信頼できる情報源からの紹介は、安心感があります。
非常勤と常勤の選択肢
非常勤で働きつつ、安定した収入を求める場合は常勤の求人を探し続けるのも一つの方法です。また、Wワークを認めている職場を選ぶのも選択肢です。
自分に合った働き方を見つけるために、以下のポイントを考慮してみてくれ。
- 非常勤のメリットとデメリット:非常勤の夜勤専従は、柔軟な働き方ができる一方で、福利厚生が少ない場合がある。自分のライフスタイルに合わせて判断することが重要です。
- 常勤のメリットとデメリット:常勤の夜勤専従は、安定した収入と福利厚生が得られるが、求人が少ないことがデメリットとなる。常勤を希望する場合は、転職サイトやエージェントを積極的に活用しましょう。
- Wワークの可能性:非常勤の夜勤専従を複数の施設で行うことで、収入を安定させる方法もある。体力やスケジュール管理を考慮しながら、自分に合った働き方を見つけましょう。
キャリアの限界を突破する方法
- スキルアップと資格取得
- 他の分野への転職
夜勤専従看護師は管理職への出世は難しいです。
また、身体的にも長く夜勤専従を続けていくことも体力的にも徐々に厳しくなっていきます。
更なるキャリアアップを求めるならば、夜勤専従で働いて空いた時間で資格取得の勉強をしたり、夜勤専従で得たスキルによる他分野への転職が挙げられます。
スキルアップと資格取得
夜勤専従看護師としての経験を活かし、以下の方法でキャリアアップを目指していきましょう。
- 認定看護師や専門看護師の資格取得:特定の分野に特化した認定看護師や専門看護師の資格を取得することで、キャリアの幅を広げることができる。資格取得に向けた勉強を計画的に進めることが重要です。
- 継続教育の活用:病院や看護協会が提供する継続教育プログラムを活用し、最新の知識や技術を習得する。これにより、看護師としてのスキルを向上させることができます。
- 学会やセミナーへの参加:専門分野の学会やセミナーに参加して、最新の情報を収集し、ネットワークを広げる。これにより、キャリアアップの機会を増やすことができます。
異なる看護分野への転職
夜勤専従の経験を活かして、他の看護分野への転職することで、新たなキャリアを築くことができます。
- 訪問看護への転職:夜勤の経験を活かし、訪問看護師として働くことを検討する。訪問看護は昼間の勤務が中心で、患者と密接に関わることができます。
- クリニックや外来への転職:夜勤のないクリニックや外来での勤務を検討する。安定した勤務時間とライフワークバランスを重視した働き方ができます。
- 教育や研修の分野:看護教育や研修の分野でのキャリアを目指す。夜勤専従の経験を活かし、看護師の育成や研修に携わることができます。
夜勤専従看護師のメリットデメリットについてまとめ

夜勤専従看護師として働くことには、高収入を得やすいこと、生活リズムが安定しやすいこと、プライベートの時間を充実させやすいことなどが挙げられます。
しかし一方で、体調管理や精神的なストレス、求人の少なさ、キャリアの限界といったデメリットも存在します。
これらのデメリットを改善・解消するためには、効果的な休息と睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など、健康を維持するための習慣が重要です。
また、リラクゼーション法や趣味の時間、職場でのサポートシステムを活用することで、精神的なストレスを軽減することができます。
さらに、効率的な求人情報の収集やスキルアップ、資格取得を通じて、キャリアの限界を突破する方法も多くあります。
この記事を通じて、夜勤専従看護師としてのメリット・デメリットを理解し、それぞれの改善策を実践することで、より快適に働ける環境を整えていただければ幸いです。
夜勤専従看護師としてのキャリアを成功させるために、日々の健康管理と自己研鑽を大切にしてください。